Aug 1, 2022

天然酵母ってなに?

「小麦、水、塩、酵母」。パン作りに必要な材料はいたってシンプルです。だからスタイルブレッドでは、美味しいパンを作るため、とことん素材にこだわっています。中でも、自社研究所を設けて管理・培養する「桐生酵母」と名付けた自家製酵母種は、日々美味しさの追及をし続ける大切な素材のひとつです。

「そもそも酵母ってなに?」「天然酵母って身体にいいの?」「酵母で味が変わるの?」
聞いたことはあるけれど、説明しろと言われると難しい…。そんな酵母の世界について、わが社の研究開発担当者が分かり易く解説いたします。

桐生酵母

酵母ってなに?

酵母とはズバリ、「生き物(微生物)」です。簡単に言うと、生きている菌の塊。実は、自然界のどこにでもいて、あらゆるところに生息しているんです。 
酵母は「糖」が大好きで、それをエサに生きています。糖の中でも「ぶどう糖」を好み、それを食べて分解します。その際に、アルコールと炭酸ガスを作り出し、この現象を「発酵」と呼びます。人々はこれを上手く活用し、パン作りやワイン、お酒造りを行っています。

パン作りの様子

天然酵母って?イーストとの違い

イーストとは英語で「酵母(yeast)」のこと。
一般的に「イースト」というと、「パン作りに適した酵母を培養し量産されたもの」を指します。
パンに適した酵母を純粋培養するため、品質が安定しており、大量製造に適しているのが特徴です。スーパーなどで見かける「インスタントドライイースト」はイーストを低温で熱し、さらに使いやすく加工・改良したものを指します。

一方、「天然酵母」とは、「小麦や果実などからそこに生息している酵母を増やしたもの」を指します。
家庭などで作られる方もいますが、常に同一品質で安定させて作るには、専門的な知識と経験が必要になるんです。実は、天然酵母には酵母の他に乳酸菌などの複数の微生物も共生しています。そのおかげで、味や風味に深みが生まれると言われ、これがイーストとの大きな違いでもあります。

イーストと天然酵母の違い

(天然酵母には「酵母」以外の微生物が存在しているので、以下「天然酵母種」と表記します。)

決して、「天然」⇔「化学的」といった対比ではなく、どちらも自然界に存在する「酵母」であることに間違いありません。
天然酵母種も酵母メーカーさんが販売を行っていて、通販などで一般にも購入することが可能です。街中で「自家製酵母パン」と謳っているベーカリーさんは、完全に自社(自店)で、小麦や果実などから酵母を培養して、パンを製造しているということになります。

スタイルブレッドでも、一から酵母種を自社で培養しており、販売しているすべてのパンが「自家製酵母パン」です。

パン作りにおける酵母の役割とは?

酵母が発酵することで、パンは膨らみます。パン作りには酵母は欠かせない存在ですね。また、酵母は「風味」を作り出す役割も持っています。
少し細かな話ですが、「香り=鼻から入ってくる匂い」に対して、「風味=口の中に入れた後に鼻腔を通って鼻から抜ける匂い」を指します。
自家製酵母種を使ったパン作りの場合は、先ほどお話しした通り、酵母と共生して乳酸菌等の菌がおり、それが風味や香りに影響し、そのお店の特徴となると言われています。
実は、乳酸菌が発酵・分解によって作り出した有機酸などが、パンの香りを出しています。

鼻をつまんで食べると同じ味だけど、香りがつくことで、違った味に感じる経験はないでしょうか。ちょっとした香り・風味の違いがそのパンの特徴となるんです。

パンを食べて喜ぶ子ども

群馬の風と水。桐生酵母

スタイルブレッドでは、群馬県産の全粒粉に存在する菌から起こした酵母種を自家培養して、パン作りを行っています。
この自家培養している自家製天然酵母種を『桐生酵母』と名付け、身体に悪さをする菌が入っていないか、パンに適した酵母であるかなど、酵母の研究・培養・管理専用の[天然酵母研究所]で安定した品質を守っています。

桐生酵母イメージ

桐生酵母は、酵母菌[サッカロミセス・セレビシエ]と乳酸菌[ラクトバチルス プランタラム]という2種類の菌が含まれます。
菌の種類は、酵母種によって違うものです。少し専門的な話になりますが、世の中の自家製酵母には乳酸菌以外にも酢酸菌がいる種もあります。また、乳酸菌にも様々な種類があり、桐生酵母に含まれる乳酸菌のプランタラムという種類は、漬物やキムチなどの植物由来の発酵物でよく見られる乳酸菌です。
この乳酸菌が生み出す乳酸などの有機酸により、それらの働きが複雑な風味を出してくれるんです。

桐生酵母種の中にいる菌株を検査する様子

▲桐生酵母種の中にいる菌株を検査する様子

研究室で徹底管理。安全で安定した品質

パン酵母の仲間にカンジダという菌がいます。人間の表皮などにいて普段は悪さをすることはありませんが、酵母種の中でこれが増えてしまうと、お腹を壊してしまったり、身体に悪さをしてしまったりすることがあります。
スタイルブレッドの桐生酵母種は、研究室で徹底管理しており、これらの菌やカビなど体に悪さをする可能性がある菌が、一切入っていないことを証明しています。
工場で使われている桐生酵母種についても定期的に検査を行い品質の管理を行っています。「安心安全」なパンをこうして作り出しています。

▲研究所で管理している桐生酵母

表皮を含んだ群馬県産小麦の全粒粉に桐生の水を入れて菌を起こし、群馬県産小麦を継ぎ足しながら、1週間時間をかけて酵母種を培養させていきます。培養力や発酵力が衰えないように、常に新しい元気な桐生酵母を作り、研究所から工場へ送り届けています。

研究所で培養している桐生酵母

▲研究所で培養している桐生酵母

このように、徹底した管理と培養を行うことで、風味や香りが変わらないよう維持し続け、スタイルブレッドでは毎日10万個以上のパンを製造しています。

桐生酵母は冷凍に向いている

桐生酵母には種々の有機酸やタンパク質などが含まれていると分かっています。実は、これらの働きがパンの保水性を上げ、食感や冷凍耐性に寄与してくれています。
スタイルブレッドのパンのレシピは、このような桐生酵母の特性に合わせたレシピになっています。

パン生地をこねる様子

家庭用の冷蔵庫などもそうですが、水分がゆっくり固まる(緩慢冷凍する)と、氷の結晶ができやすく、生地に影響が出てしまい、美味しさが損なわれてしまう要因の一つとなります。

現在、スタイルブレッドの[天然酵母研究所]では、さらにより冷凍に適した製法などを、生地の物性や原料などから日々調査・研究を行っています。
普通のパン屋ではやらないような細かな研究を行うことで、より美味しいパンをお客様にお届けできるように、そして、さらなる革新をすべく、邁進しています。

スタイブレッド 商品研究開発者 萩原裕也

▲スタイブレッド 商品研究開発者 萩原裕也

Pan&で使用する『桐生酵母』が、月刊誌 東京人(都市出版)2020年2月号にて紹介されました。

特集:「発酵万歳!」食べて、飲んで、学んで、健康にP.79〜 発酵研究最前線!(Pan&)


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